普段からクルマに乗っていても、スピードを出すのが怖くてついつい敬遠してしまう高速道路。信号も交差点もないので、旅行や帰省などの長距離移動がスムーズになってとても便利です。一度高速道路の運転方法をマスターすれば、お出かけの選択肢がグッと広がります。
今回は、高速道路に乗るための準備や走行時の注意点など初めて高速道路を運転する方でも理解しやすいように解説します。
信号のない広い高速道路は、空いている道路を走ればよいと思っている人はいませんか。
実は、高速道路には5つの車線が存在するので、今回は車線の種類と特徴を詳しく解説します。
高速道路では車は基本的に左側の走行車線を走るということを覚えておきましょう。
高速道路には、最高速度(標識指示が無ければ時速100km)と最低速度(時速50km未満)が存在しますので、ルールを守って走行しましょう。
追い越し車線とは高速道路において、片側2車線以上の一番右側にある車線の事をいい、走行車線を走行中に前者を追い越す際に利用します。
追い越し車線は前の車を追い越す目的の車線なので、追い越し終わったら、速やかに走行車線に戻る必要があります。
登坂車線とは、トラックなど重量が大きく、急勾配の道路でスピードが上がらない車のために設置された車線です。山間部や起伏の激しい高速道路などに設置されています。
登坂車線は登り坂などの入り口の最も左側に設けられており、白くて太く短い破線の車線が特徴です。また、登坂車線を知らせる緑色の標識も目印の一つです。
減速車線とは、高速道路のIC(インターチェンジ)ごとに設けられた、十分な減速を行うための車線です。
本線車道走行時の速度を抑えることで、安全に高速道路から離脱することが可能になります。
加速車線とは、高速道路に設けられた本線へスムーズに合流するための車線です。
本線を走行する車両とのスピードに差があると、追いつかれて衝突するリスクがあるため、合流するための加速が可能になります。
高速道路を走行可能なバイクは、総排気量125cc以上のバイクです。
つまり、原付と小型免許で運転可能なバイクでは高速道路を走ることが出来ません。
実はバイクにもETCは搭載可能です。停車せずにゲートを通過できるので、高速道路を安全に、そしてスムーズに利用することができます。利用方法はクルマと変わりませんが、バイク用のETCはクルマ用のETCに比べると若干割高になっています。
高速道路を利用する前に必ずチェックしておきたいのが、ガソリンの残量。クルマに乗ったら、まずは燃料計をチェックします。高速道路では、数十kmもガソリンスタンドがない上に、ガソリン代も割高なケースが多いので、ガソリンの残量に少しでも不安があれば事前に給油をしておきましょう。
ガソリンの残量とともに大切なのが、タイヤの空気圧です。タイヤの空気圧が弱いまま高速道路を走行し、タイヤがバースト(破裂)する事故が発生しています。ガソリンスタンドに立ち寄った時に空気圧が適切か確認してもらいましょう。高速道路を走行するときは、運転席のドアを開けたところに記載してある「指定空気圧」より少し高めにするのが良いそうです。
車内にETC車載機が搭載されている場合は、ETCゲートを利用するとお得に高速道路を利用することが出来ます。
ETCカードにも、クレジットカードのように有効期限があるので、ETCカードが有効期限内か確認する必要があります。
また、ETCカードがしっかり挿入されていないと、ETCゲートが正常に作動しないので、ETCカードが認識されているかの確認が必要です。
高速道路を利用して遠方の目的地へ向かう場合は、必ず経路を確認しておきましょう。
クルマにナビが搭載されていれば、ナビゲートしてもらえますが、そうでない場合には何を目印に向かえばいいのでしょうか。
お手持ちのスマホやタブレットのマップアプリを活用すれば、高速道路への道順がすぐわかります。ほとんどのマップアプリにナビ機能が搭載されていますので、GPS機能をオンにして活用しましょう。但し、運転中の操作は危険ですので、ホルダーで固定するなど工夫が必要です。
コンビニで購入できる、マップブックを利用する手法もあります。事前に経路を確認しておけるだけじゃなく、周辺の観光地やおすすめの過ごし方など目的地への経路以外の情報を入手することが出来るメリットがあります。
高速道路の入口が近くなると、必ず緑色の道路標識で案内が記されています。
また、高速道路の入り口が専用車線になっていることがほとんどなので、走行中は標識と専用車線に注目しながら運転しましょう。
ETC(電子料金収受システム)を利用する場合は、ETC車載機にETCカードが挿入されていることを確認して、「ETC専用(紫色)」もしくは「ETC/一般」と書かれたゲートに進みます。
ETCレーンに進入する際は、20km/h以下までスピードを落として、バーが上がったらゲートを通過してください。速度が落ちていないとバーが上がらず思わぬ事故の原因となる可能性があります。
現金・クレジットカードを利用する場合は、「一般(緑色)」もしくは「ETC/一般」と書かれたゲートに進みます。
徐行でレーンに進入し、通行券自動発券機にて通行券を受け取ります。この通行券は高速道路から降りるときに使用するので、サンバイザーケースなど取り出しやすい位置に保管しておいてください。
高速道路で特に苦手意識を持っている人が多い「合流」は、加速車線でしっかりと加速すること、本線を走る車をよく見て、合流する場所を決めることが大切です。
加速車線に入ったら右ウインカーを出し、加速しながら必ず目視とミラーの両方で、本線を走行するクルマの流れを見ます。合流場所を決めたら、本線を走行するクルマと同じスピード(80~100km/h)になるようにアクセルを調節しながら、タイミングを見て本線へ合流します。
本線では、「走行車線」を走行するのが基本です。一番右の「追い越し車線」は、文字通り追い越しをするときに使用するので、追い越し時以外は走行車線を走行しましょう。この時、最も注意したいのは車間距離です。
車間距離が十分に取れていないと前のクルマがブレーキを踏んだ時に追突する危険性が高まるので、目安として80km/hで80m、100km/hで100mは車間距離を保つように心がけましょう。雨の日は、停車するまでの制動距離が長くなってしまうので、晴れた日の2倍の車間距離を空けるようにしてください。
走行車線の走行時は、アクセルを一定に踏み込もうしていませんか?実は、平坦な道に見える高速道も坂道によるアップダウンは数多くあります。大切なのは速度を一定に保つことなので、意識的にスピードメーターを確認して、アクセルを調節しましょう。
明るいところから急に暗いトンネルに入ると、目が慣れるまでに少し時間がかかるので、トンネルへの進入は慎重に行いましょう。トンネルに入る前は必ずライトを点灯させて、前後のクルマに自分の存在をアピールしましょう。
ジャンクションは、高速道路に設置されているインターチェンジを指します。通常のインターチェンジは、一般道路と高速道路の出入り口に設けられていますが、JCTの場合は高速道路相互を直接接続するものであり、異なる高速道路へ乗り換えができます。
少し複雑な形状をしていますが、案内標識に従って車線変更をするだけなので、乗り方さえ覚えてしまえば問題ありません。
走行車線を走っていて、前のクルマを追い越したいときは、「追い越し車線」に入って追い越しをします。追い越し車線への車線変更は、本線への合流と同じで、早めにウィンカーを出し、後方のクルマをよく見て入る場所を決めること、流れに合うように加速することがポイントです。
追い越し車線に入ったら、走行車線を走るクルマを追い越すために加速します。追い越しが終わったら、左ウィンカーを出して、しっかりと安全確認をして走行車線へ戻りましょう。追い越し車線をずっと走り続けると。「通行帯違反」として、取り締まりの対象になります。
目的地のインターチェンジが近づいてきたら、一番左の車線に入り、本線を降りる準備をします。インターチェンジの前は混雑するので、「〇〇出口2km」の標識が見えたらゆとりをもって左車線に移動しましょう。
「出口」への分岐が見えたら早めに左ウィンカーを出し、出口レーンへ入ります。出口レーンは減速車線なので、しっかり速度を落としましょう。出口ゲートまではカーブが続く場合が多いので、速度標識に従って、安全に走行しましょう。
出口レーンは、高速道路に乗る時と同じレーンを使用します。
もし、誤ったレーンに進入してしまうとトラブルや事故の原因となってしまうので使用する出口レーンは素早く見つけましょう。
レーンによって高速道路料金の清算方法が異なります。
それぞれのレーンに分けて解説していきます。
「ETC」の場合は、無人ゲートです。車両通過時に端末が自動で認識されるので制限速度の20km/h以下で通過するだけで精算できます。高速道路料金は、利用しているカード宛に請求が来るので、ETCの場合はその場で領収書が発行されません。利用料金がレーン出口のデジタル掲示板に表示されるので確認しておきましょう。
「一般」レーンはゲートに係員がいるので、入口で受け取った通行券を渡して、通行した区間の高速道路利用料金を現金かクレジットカードで支払います。支払いに時間がかかりすぎてしまうと渋滞の元になる可能性が大きいので、あらかじめ手元に現金を用意しておくことがポイントです。
また、無人精算機のゲートも存在しますが、焦らず音声ガイダンスに従って、通行券を投入し、表示された金額を支払いましょう。困ったことがあっても、係員と通話がつながるのですぐに対応をしてくれます。
2時間以上高速道路を走行する場合は、休憩をとるようにしましょう。
高速道路にはPA(パーキングエリア)とSA(サービスエリア)と呼ばれる場所が存在します。
PAは基本的に駐車場とトイレがある設備です。SAは、駐車場やトイレに加えて、食事がとれる場所やお土産コーナー、給油所など充実した設備が備わっています。有名なSAになるとそこを訪れるのが目的で高速道路を利用する人もいます。
パーキングエリアやサービスエリア、インターチェンジから本線に合流しようとしている車がいるときは、速度を調整するか追い越し車線に移動して、合流ポイントを確保してあげるやさしい運転を心がけると良いでしょう。
高速道路を降りた直後は、目の感覚がスピードに慣れた状態になっています。一般道の走行時は、スピードメーターを注意深く確認し、しっかり法定速度で走行しましょう。
高速道路は、走行スピードに対する恐怖心や苦手意識から、利用したことのない人も多いのではないでしょうか。普段通りに落ち着いて運転すれば、交差点や信号もないので、一般道よりも楽に安全に走行することが出来ます。
高速道路に乗る前の準備と、高速道路の走り方、ゲートの使い方をマスターして、便利で安全な高速道路のドライブを楽しみましょう。