日本では、子どもの安全のため、道路交通法第71条の3(普通自動車等の運転者の遵守事項)により6歳未満の子どもへのチャイルドシート着用が義務付けられています。
しかし、チャイルドシートは万能ではありません。正しく着用しなければ、小さな事故でも子どもに大きなケガを与えてしまう可能性があります。
この記事では、チャイルドシートの役割や安全な使い方について解説をしています。大切なお子様を守るためにも、チャイルドシートの正しい知識を持っておきましょう。
チャイルドシートは子どもを運転中の衝撃から守るために装着します。運転中の衝撃とは主に2つ想定されています。
チャイルドシートは急停車や事故の衝撃を緩和してくれます。シートベルトの役割も同じですが、大人用に設計されているため、身長が135cm未満の子どもが車に乗る場合はチャイルドシートを着用したほうがいいでしょう。
小さい子どもはよく車の中で動き回ったり、シートの上に立ち上がったりと落ち着きがないことがあります。足を滑らせて転倒し、大けがを負わないようにチャイルドシートをしっかり装着しましょう。
チャイルドシートは子どもの発育に合わせて様々な種類が販売されています。お子さんの成長に合ったチャイルドシートを使用するようにしましょう。
乳幼児用べビーシートには赤ちゃんを寝かせられる「ベッドタイプ」と座席に座れるシートタイプがあります。首が座っていない赤ちゃんにはベッドタイプのものを選びましょう。
使用時期の目安:0歳~1歳
身長・体重の目安:身長は70cm以下、体重は10kg未満
価格:約2~4万円
支えがなくても1人で座れるようになったらチャイルドシートを装着しましょう。嫌がっても身体をしっかりと固定しておくことで子どものケガやトラブルを防ぐことができます。
使用時期の目安:1歳~5歳
身長・体重の目安:身長は100cm以下、体重は18kg未満
価格:約3~6万円
ジュニアシートは、大人用シートベルトが合うように調整するために作られています。背もたれのあるタイプと座席のみのタイプがあります。
使用時期の目安:6歳~10歳
身長・体重の目安:身長は135cm以下、体重は15~36kg未満
価格:約1~2万円
上記では、チャイルドシートの役割について話しましたが、実際にチャイルドシートは着用していない時と比べるとどの程度の効果があるのでしょうか。
国土交通省が公表しているデータでは、チャイルドシートをしているときに比べ、非着用時の死亡重症率はおよそ2.2倍、致死率に至ってはおよそ6.9倍も上がると記載されています。(参考)
仮に時速40kmで走行した場合は自分の体重の30倍、前に飛び出す力が働くことを考慮すると、チャイルドシートは子どもを守る効果があると言えるでしょう。
国土交通省の安全基準に合格した製品には型式指定マークまたは、型式認定マークが表示されています。
2012年までに製作された製品に表示されているマークです。凡用チャイルドシートには「UNIVERSAL」、車両限定型チャイルドシートには「SPECIFICVEHICLE]、兼用型チャイルドシートの場合には「COMPATIBLE」と記載されています。
平成18年にチャイルドシートに関する基準の見直しがあり、自動車基準の国際調和の観点から、2006年10月1日以降に型式指定を受けた製品にいます。
チャイルドシートは後部座席に設置しましょう。助手席の方が目が届きやすいですが、基本的にエアバックが設置されているため、子どもの身体に強い衝撃が加わってしまう可能性があります。
0歳から1歳まではチャイルドシートを後ろ向きに設置しましょう。衝撃が背中で分散されるため、身体への負担が軽減されます。
また、新生児が正常な呼吸を確保するために水平から45度の角度でチャイルドシートを取り付けましょう。
シートベルトで固定するタイプのチャイルドシートは、ほぼすべての車種に取り付けることができます。
2012年7月以降に発売された新車には、ISOFIX専用取付金具の設置が義務付けられています。車の座席に予め装備されている「ISOFIX取付金具」にチャイルドシートのコネクタをカチッとなるまで差し込むだけでロックされます。しっかりと固定されるようにチャイルドシートを押し込みましょう。
座席の中に折りたたんで収納されているチャイルドシートです。子どもが乗る際には引き出して使用してください。
チャイルドシートの説明書に従い、大きな力が加わっても3cm以上シートが動かないようにしっかりと固定されているかを確認しましょう。
ISOFIXが付いている自動車の場合、チャイルドシートを取り付けた後にALR機能が作動するかを確認してください。
炎天下で駐車をするとチャイルドシートの本体や金具部分が熱せられて熱くなります。お子さんがやけどをしないように、熱くなりやすい箇所に触れて確認してから着席させましょう。
また、子どもは汗をかきやすく、熱がこもって体温が上がりやすいため、熱中症には十分気をつけましょう。
上着を着せた状態でベルトをすると、ベルトと子どもの間に上着分の隙間ができてしまいます。衝撃を受けた際に上着が脱げてベルトから飛び出してしまう可能性もあるので、寒い冬等は特に上着を脱がし忘れないように注意しましょう。
どうしても寒さが気になる場合は、チャイルドシートの上から上着やブランケットをかけて寒さ対策をするのがおすすめです。
チャイルドシートのシートベルトは未熟な子供の体でも強い衝撃に耐えられるように両肩と両腰の4点で固定されています。子どもを守るために肩ベルトの調節をしっかりと行うことは大切です。
まずは肩ベルトの位置や高さを確認しましょう。前向きのチャイルドシートの場合は肩の高さと同じか肩よりも高い位置にベルトが来ることが理想的です。後ろ向きのチャイルドシートの場合は肩よりも低い位置にベルトが来るように調節することで肩にかかる負担を減らすことができます。
ベルトの長さは肩ベルトと子どもの体の間に指が一本入る長さにしましょう。それよりも長すぎると緩すぎてしまい、短すぎると締め付けが強くなってしまうので注意してください。
法律では6歳未満の子どもには着用義務があると定められています。6歳以上でも、安全性を考慮する場合は、お子様の身長でチャイルドシートの必要性を判断すると良いでしょう。
車に装備されているシートベルトは身長135cm以上から効果を発揮します。もしもお子様がまだこの身長よりも低い場合はチャイルドシートを装着したほうが安全です。
後ろ向きのチャイルドシートの卒業時期は赤ちゃんの年齢が1歳以上で体重が10kgを超えた際に前向きにチャイルドシートに変えるのが良いでしょう。乳幼児の子どもは頚部が十分に発達していない為、赤ちゃんが重症を負うリスクが高いです。
後ろ向きのチャイルドシートは進行方向とは逆向きに設置することで、もしもの時に背もたれが衝撃を吸収してくれる役割があるので、赤ちゃんが十分に成長するまで後ろ向きのチャイルドシートを使用することがおすすめです。
チャイルドシートからジュニアシートへの切り替えは、公式サイトなどでジュニアシートの対象年齢や体重を確認し、超えていたらジュニアシートへの移行を検討したほうがいいでしょう。
もし年齢が超えていても身長や体重が基準に満たない場合はチャイルドシートの使用をおすすめします。
幼児の場合、体とベルトの間に指を入れて滑り込む程度にベルトを締めてください。
肩ベルトは背もたれの通し穴の高さが肩より低くなっていないことや子どもの首を圧迫していないかを注意してください。
チャイルドシートは「乳児用」「幼児用」「学童用」があります。ケガをしないように体格や成長に合わせて使い分けましょう。
また、赤ちゃんを抱っこして車に乗せるのは危険です。安全なドライブの為にも乳幼児用ベビーシートの利用をおすすめします。
チャイルドシートは自由に動けないため、子どもはすぐ退屈になってしまいます。飽きさせないためにおもちゃを用意したり、シートの上で遊べる準備をすると良いでしょう。
また、チャイルドシートに座った後には楽しいことが待っていると印象付けることで子どもは落ち着いてチャイルドシートに座れるようになります。
長時間の移動の場合は、できるだけ道が混まない時間やルートで向かうようにし、こまめに途中休憩をはさみながら向かうと効果的です。
チャイルドシートはお子様を守るために大変重要な役割を果たしています。一方でチャイルドシートは万能ではないので、装着方法を間違えてしまうと、お子様を守る機能が半減してしまうリスクもあります。
正しいチャイルドシートの選び方や装着方法を知っておくことで、お子様と安全なドライブを楽しみましょう。